先天性心疾患(CHD)を有する小児の生存率は著しく向上し、現在では90%以上が成人に達し、米国や欧州には100万人以上の成人CHD患者が存在するとされる。その中で、左室収縮不全(LVSD)は、CHD患者において心血管イベントの独立した危険因子である。成人一般集団においては、AI心電図(AI-ECG)分析によるLVSDの予測が広く行われているが、CHD患者を対象とした分析は未だ十分に行われていない。米ハーバード大学ボストン小児病院の研究チームは、CHDを有する患者の心電図と心エコーを用いて、LVSDを検出・予測するAIモデルを構築した。この研究成果は、The Lancet Digital Healthに発表された。
研究チームは、先天性心疾患患者の心電図と心エコーのペア124,265件を用いて畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を訓練し、40%以下の左室駆出率を検出するモデルを構築した。本モデルは、内部テストにおいてAUCが0.95、外部テストにおいてAUCが0.96という優れた精度を示した。また、AI-ECGにおける高リスク群では、年齢で調整したハザード比が12.1と、将来のLVSD発症リスクが有意に高いことが確認された。また、高リスク群では、低リスク群に比較して、全死因死亡率も高かった。
著者らは「将来的に、本AI-ECGによりCHD患者のLVSDを低コストでスクリーニングできる可能性があり、臨床現場での意思決定に重要な影響を与えるかもしれない」と述べている。
参照論文:
Electrocardiogram-based deep learning to predict left ventricular systolic dysfunction in paediatric and adult congenital heart disease in the USA: a multicentre modelling study
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