脳腫瘍は、画像として他の疾患にしばしば類するため、正確かつ早期の診断は依然として大きな課題である。現在、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いたモデルが開発されているが、多くのモデルは単一の手法に依存しており、脳腫瘍画像の複雑な構造に十分に対応できていない。こうした課題を踏まえ、合同研究チームはMRI画像を用いた脳腫瘍診断のためのアンサンブルモデルを開発した。
8月8日にScientific Reportsに掲載された研究によると、研究チームはEfficientNetB5、ResNet50、CNNの3つのモデルを組み合わせた新たなアンサンブルモデルを構築した。データセットには、「異常なし」、「グリオーマ」、「髄膜腫」、「下垂体腫瘍」の4つのカテゴリーに分類された2,2000枚以上のMRI画像が含まれている。結果として、MRI画像の全体的な分類正答率は、テストセットで99.4%、検証セットで99.48%、クロスデータセットで99.31%と非常に高いパフォーマンスを示した。さらに、予測の不確実性をエントロピーで評価したところ、0.3093と低い値を示し、診断予測の高い正確性が示唆された。解釈性はGrad-CAM、Guided Grad-CAM、SHAP、SmoothGrad、LIMEで担保している。誤分類の傾向としては、髄膜腫で多くなるという。
本アンサンブルモデルは優れた診断精度が期待される一方で、今後は実臨床データを用いたさらなる検証が必要である。また、研究者らは「複雑なアンサンブルモデルであるため、高度なコンピューターリソースが整った環境下でのみトレーニングが可能であり、今後はプルーニング、量子化、知識蒸留などを通じてモデルサイズの軽量化を図る必要がある」と述べている。
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