虚血性脳卒中患者では、いち早く診断を付け、高度専門病院での血管内治療(EVT)に繋げることが重要である。しかしイギリスでは、検査機器などの制約から、専門施設への搬送遅延が問題となっており、EVT治療率の低さが課題であった。これに対し、英NHSの研究チームが、AI画像処理ソフトの導入による状況変化を評価することを目的に、大規模な前向き観察研究を実施し、その成果をThe Lancet Digital Healthに掲載した。
本研究では、英国全土107病院におけるAIソフト導入前後でのEVT実施率の変化をアウトカムとした。AIソフトは頭部単純CTやCTA(CT Angiography)を元にリスク評価を行うもので、導入前の2019年1月~2020年2月と、導入後の2022年1月~2023年2月の452,952人のデータを用いて、EVT実施率を比較した。その結果、実施率は2.3%→4.6%と上昇し、また、非導入施設と比較して、導入施設では有意に高い増加傾向(交互作用オッズ比1.24)が見られた。一次脳卒中センターでの導入の効果はより大きく、AIを使用することで治療を受けるオッズが2.34倍になった。加えて、専門施設への患者搬送までの時間は64分(中央値)短縮されていた。
研究チームは「AIソフトの導入で、一次脳卒中センターがより大きな効果を得たのは望ましいことだ。本研究は、リアルワールドで行った研究の中で最大のものであり、今後は予後と関連するアウトカムの探索を行いたい」と述べている。従来の臨床試験同様、こうしたAIソフトの導入(介入)による効果を測る「臨床試験」の結果が今後も公開されていくことが望まれる。
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