卵巣がん患者における、BRCA1/2遺伝子の生殖細胞系列での変異は、発症リスク評価だけでなく、PARP阻害剤などの個別化治療への反応性を左右する重要なバイオマーカーである。しかし、従来の手法では保因者の特定に限界があることが課題となっていた。これまでの予測モデル研究は、主に生存率や予後の予測に重点が置かれたが、このほどイタリアの研究チームは、臨床病理学的特徴から変異自体の有無を予測する研究を発表した。
BMJ Health & Care Informaticsに掲載された本研究では、BRCA1/2遺伝子検査を受けた卵巣がん患者648人(うち216人が変異あり)のデータを用い、病期や腫瘍Grade、組織型、第一度/第二度近親者の家族歴の有無等の特徴量をもとに、変異の存在の予測を行った。複数の機械学習モデルを比較したところ、決定木を改良したブースティング法が最も精度が高く、テストデータにおいて正解率84.5%、適合率80%、AUCで0.788を達成した。また、各特徴量の「相対的影響度スコア」を算出したところ、「第一度近親者の卵巣がん家族歴」が最も予測に重要であった一方で、従来重視されていた「病期分類(FIGOステージ)」は予測にほぼ影響がないことが明らかとなった。
研究チームは「臨床現場での使用には、正解率と適合率が90%を超えることが望ましく、今後も精度向上が必要である。その先には、検査前遺伝カウンセリングや遺伝子検査の優先順位の決定など多岐にわたる使い道があるだろう」と述べている。
参照論文:
Machine learning prediction ofgermline BRCA1/2 pathogenic variantsin patients with ovarian cancer
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