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AI画像診断の現在地 – 2019 欧州放射線学会(ECR) より

2019年の欧州放射線学会(ECR)はAI画像診断領域の充実が明らかであった。一方で、市場の成熟は未だ初期段階にあることも確認されている。

HIT Consultantでは、ECRで認められたAIの価値が総評された。
1.臨床との関連性
特定の臓器に限定されたAIの段階を過ぎ、全身の複数臓器にわたる異常検出と診断に達している。臨床の業務内に現実的に組み込まれ、放射線レポートの価値が向上し、臨床転帰の改善につながるだろう。
2.ワークフローの統合
AI組み込みの撮影機器は少なく、解析はサードパーティ製のアプリケーションが主流。今後は撮影システム内への統合が進み、時間当たりの業務量向上と、ソフトウェア誤作動のリスク低下が進むだろう。
3.投資に対する収益率
英国や日本のように皆保険制度で放射線画像の需要が高い国は、ソフトウェアへの投資に際し、人件費に対する時間当たりの収益性向上が普及の要因となるだろう。
4.結果の妥当性
臨床医がAIの出した結果を信頼しなければ普及は難しい。権威ある学術誌に収載される前向き研究は時間と費用を要する。その負担を乗り越えた開発元が勝ち取る信頼と収益は、投資を十分に上回るものだろう。

放射線科医の仕事をAIが奪うのではなく、医師は運転席のドライバーのようにAIを使いこなすもの、と学会が啓蒙する風潮も特徴的であった。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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