てんかんへのAI利用

Photo by iStock

てんかんは人口の約1%が罹患する最も一般的な神経障害疾患の一つである。けいれんや意識消失など多様な発作を繰り返し、不安とリスクを伴いながら日々を過ごすケースも少なくない。神経疾患の電気生理学的性質はAI技術との親和性が高い領域と考えられてきたが、近年の活用例を紹介する。

米メディアPsychology Todayによると、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ発のスタートアップEmpaticaが開発したてんかん発作監視用スマートウォッチは、子どもの強直間代発作に対し、脳波を用いないデバイスとして初めてFDAの承認を受けたという。てんかん発作の発汗による体表の電導率変化をとらえる技術が組み込まれているとのこと。

また、Technology Networksによると、サウスカロライナ医科大学 (MUSC) の神経科医チームが、てんかん外科手術の予後予測に、拡散磁気共鳴画像(dMRI)からのディープラーニングで、従来の分類モデルを超える正確性を記録した。学術誌Epilepsia収載の同研究は、てんかん患者では一般的なdMRIを利用し追加検査を必要としない。抗けいれん薬に反応しにくい難治性てんかん患者は少なくない。生活の質の向上や、外科手術領域でもAIの役割は拡大してゆくだろう。

前の記事欧州ヘルステック投資フォーラム2019 フィンランドで開催
次の記事AI画像診断の現在地 – 2019 欧州放射線学会(ECR) より
TOKYO analytica
TOKYO analyticaは、データサイエンスと臨床医学への深い造詣を武器とし、健康に関するあらゆるモノ・コトのエビデンス構築・普及をお手伝いするメディカルコンサルティングプロジェクトです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。