米ノースウェスタン大学やハーバード大学などの共同研究チームは、AIによって強化された精密医療アプローチにより、自閉スペクトラム症における新しいサブタイプを特定したことを明らかにした。表出する症状から分類する古典的アプローチとは全く異なり、このサブタイプには分子生物学レベルでの明確な発症原因と機序があり、多次元的なエビデンスベースのサブタイプとして注目を集めている。
権威ある学術誌・Nature Medicineに10日、短報として掲載されたチームの研究論文によると、遺伝子データや電子カルテ記録、保険請求データ、動物モデルデータなど多様なデータをオーバレイするとともに、グラフクラスタリング分析を用いた自閉スペクトラム症の新しい分類を進めたという。チームは、親の脂質異常症が子における一部の自閉スペクトラム症と強い関連があることを見出し、後に実際の診断を受けた幼児の血中脂質プロファイルにも変化を確認した。これらの発見は、一部の自閉スペクトラム症に対する有効な早期スクリーニングと早期介入を実現できる可能性を示すものと言える。
Medical Xpressの取材に対し、研究を率いたYuan Luo氏は「今日現在、自閉症は症状のみに基づいて診断されており、発見段階では、適切な介入が加えられることなく既に脳発達の重要なフェーズが過ぎているケースが多かった。今回の研究成果は、自閉症治療におけるパラダイムシフトをもたらす可能性もある」とする。