医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例英Babylon Healthの新しいAIが医師の診断精度を改善 - 学術誌 Nature Communications

英Babylon Healthの新しいAIが医師の診断精度を改善 – 学術誌 Nature Communications

Babylon Healthが開発中の「単なる相関ではなく、医学的な因果関係を意味する関連」を抽出するAI手法について、以前に紹介した(過去記事)。さらなる成果として、その新しいAIは筆記試験のスコアで、英国の一般的な家庭医(GP: general practitioner)の72%(44人中32人)を上回る結果を示した。

Babylon Healthのプレスリリースによると、同研究成果は査読付きの学術誌 Nature Communicationsに発表されている。研究の筆記試験には1,671例の現実に即した症例が設問され、350以上の疾患で典型例と非典型例が含まれた。試験に参加したGPは50以上の設問に回答し、平均2.58個の鑑別疾患を挙げた。医師の平均スコア71.40%に対し、Babylonの因果関係を抽出できる新しいアルゴリズムは77.26%のスコアを記録し、72%(44人中32人)の医師を上回った。

同研究の著者でチーフサイエンティストのSaurabh Johri博士は「興味深いのは、AIと医師が互いに補完し合っているという発見です。アルゴリズムは、誤診されやすく重篤になる稀な疾患に対して特に優れたパフォーマンスを発揮しています。稀な疾患への精度は、相関関係から因果関係へ切り替えることで約30%向上しました」と語った。Babylonの新しいAIは、現在一般公開中の診断アプリには含まれておらず、規制当局の承認を待っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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