新型コロナウイルス感染症は現在、世界的に深刻な拡大を続けているが、ウイルス感染を識別する手段が限定的であること、またその識別精度がそもそも十分とは言えないものであることなどが問題となってきた。米カリフォルニア州に本拠を置くBitscopic社の研究チームは、一般的な血液検査項目の組み合わせから、新型コロナウイルス感染を識別するAIモデルを構築した。
学術ジャーナル・Clinical Infectious Diseasesにて12日公表されたチームの研究論文によると、本年3月から7月の間に新型コロナウイルス感染検査を受けた75,991人からなる退役軍人コホートを利用したという。各人に感染の有無をラベル付けした上で、ルーチンで施行される20の血液検査項目の結果から機械学習モデルをトレーニングしたところ、感度82.4%・特異度86.8%・正確度86.4%で、モデルは標準血液検査項目のみから新型コロナウイルス感染を予測することができた。
本手法単独で確定診断を導くことには大きな議論を残すが、補助的検査法としての潜在的な有効性が示唆されたと言える。チームは論文の中で、「PCR検査などで見逃された陽性患者のすくいあげに役立つ可能性」を指摘し、今後の臨床現場における積極活用を推進する構えを示す。