AIが薬物乱用から若年ホームレスを救う

米国では長年に渡り、ホームレスの薬物乱用が社会問題となってきた。ペンシルベニア州立大学の研究チームは、若年ホームレスにおける「薬物依存症の罹患リスク」を推定するAIアルゴリズムを構築した。これにより、高リスクにある者を対象とした個別化リハビリテーションプログラムの実施などに結びつく可能性が示唆されている。

ペンシルベニア州立大学が先週公表したところによると、研究チームは18歳から26歳の米国在住ホームレス1,400人から収集したデータを利用し、このAIアルゴリズムを導いたという。モデルには、犯罪歴や生育歴、メンタルヘルスの特性など、環境・心理・行動の各要因から多面的な評価項目を取り込んだほか、地理的な差異を解析するため、データセットを州ごと6つに分割した上で個別の予測モデルもトレーニングしたとのこと。

研究論文の筆頭著者で博士課程の学生でもあるMaryam Tabar氏によると「モデルが学んだことを見れば、薬物依存症に苦しむ人々がそうなるに至る要因を効果的に見つけることができる。仮に政策立案者が薬物乱用の蔓延を防ぐプログラムを開発するとすれば、このアルゴリズムは有用なガイドラインを提供することができるだろう」とする。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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