米国心臓協会(AHA)が刊行する学術誌・Hypertensionに、機械学習を用いた腸内細菌叢の解析によって、心血管疾患のスクリーニングを行うという斬新な研究成果が報告された。
米オハイオ州に所在する公立大学であるトレド大学の研究チームは、糞便サンプルから腸内細菌叢を解析し、心血管疾患の長期的な発症リスクを推定する機械学習アルゴリズムを構築した。先週オンライン版として公表されたチームの研究論文によると、American Gut Projectに含まれる患者から1,000の糞便サンプルを用いてこのアルゴリズムを導いたという。random forest、support vector machine、decision tree、elastic net、neural networkの5つの教師あり機械学習モデルによってアルゴリズムをトレーニングしたところ、最適化されたAIアルゴリズムは心血管疾患の有無や特定のクラスターを識別できるだけでなく、腸内細菌叢から個人を識別できる可能性さえあることを示したとのこと。
Health IT Analyticsの取材に対し、トレド大学で生理学・薬理学の教授を務めるBina Joe博士は「糞便の微生物叢における組成解析が、心血管疾患の簡便なスクリーニング手法となり得るほどの高い識別精度を示したことには我々自身も驚いている」とした上で、実臨床への適用が高い確率で可能となる研究成果に自信を示した。