デジタルフェノタイピング(Digital Phenotyping)と呼ばれる、「スマートフォンやウェアラブル機器に収集されるデジタル化された個人の行動データの特性」を解析する動きが盛んとなってきた。精神疾患へのデジタルフェノタイピングと機械学習の利用状況を評価したシステマティックレビューが学術誌 Harvard Review of Psychiatryに収載されている。
News-Medical.Netでは、ハーバードメディカルスクールの研究者から発表された同論文を紹介している。レビューでは、精神疾患にデジタルフェノタイピングが応用された51件の研究が絞り込まれ、そのうち16件に機械学習アプローチが用いられていた。対象とされた精神疾患は統合失調症・双極性障害が主であり、平均31名の参加者が約4ヶ月モニターされている。ほとんどの研究で加速度計・GPSからのデータが収集され、その他の指標として音声通話・テキストメッセージのログが用いられている。最も一般的に使用されていたアルゴリズムはランダムフォレストであった。
レビューによるとスマートフォンの機種・OS・年齢・人種・民族などに高いばらつきが見られており、著者らは研究同士の比較を促進するため報告形式の標準化を提案している。今後もデジタルフェノタイピングは精神疾患の評価と予測に応用が進むであろうが、より質の高いデータと大規模な研究が必要とされている。