日本の小児科医である川崎富作によって発見された「川崎病(Kawasaki disease:KD)」は乳幼児の発熱疾患として有名である。全身の血管に炎症を引き起こし、冠動脈瘤のような後遺症を残すことも川崎病が重要な疾患として認知されている理由の1つである。現在でも疾患の原因が特定されておらず、診断のための特異的な検査は確立していない。COVID-19の流行で、川崎病に類似した症状を呈する患者が発生していることから再び注目を集めるようになった。
米Prevencio社はAI主導のプラットフォーム「HART」で高精度の血液検査手法を開発している。同社は17日、川崎病診断のための「HART KD」を開発したことを、Business Wireにおけるプレスリリースで発表した。川崎病の子どもたちから採取した血液サンプルに対して同社のAIプラットフォーム上でタンパク質の解析を行い、疾患診断を可能にするという。
Prevencio社はシアトル小児研究所との共同研究を進めており、診断精度を裏付ける臨床での検証成果の発表が待たれるところである。特異的な検査手法が確立していなかった川崎病に、AI技術による恩恵がもたらされるか、革新がすぐそばまで迫っている。