変形性関節症(Osteoarthritis: OA)は、軟骨の破壊や劣化により痛みを伴う関節炎や関節の変形をきたす疾患である。骨の損傷は不可逆的な段階まで進行して発見されることが多く、人工関節置換の手術などでOAは米国の医療システムに年間165億ドルの負担となっているという。
ピッツバーグ大学医学部とカーネギーメロン大学工学部の研究グループは「MRI画像による軟骨の3Dモデル構成に機械学習を応用し、発症前のOA発見を可能にする研究」を米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。同研究では膝関節OAのMRI画像で訓練された機械学習モデルによって、発症や骨損傷の3年前に78%の精度で将来のOA進行を予測できた。
OA発症前のまだ可逆的な段階で患者を検出できるようになれば、将来的には手術を回避する予防措置が可能となるかもしれない。患者の予後と医療コストに大きな負担を強いるOAの臨床風景が変化する期待が持てる。