米国疾病予防管理センター(CDC)のデータとして、米国では死亡者の約8分の1(12.5%)が心不全を原因とするという。心機能低下のサインで、肺に過剰な体液が貯留する「肺水腫」は、治療方針の判断材料として用いられる。日常診療では肺水腫のレベルをX線画像から判断する事が多く、その特徴の捉え方に一定の基準が求められていた。
マサチューセッツ工科大学のコンピュータサイエンス・人工知能研究所(MIT CSAIL)のニュースリリースによると、同研究所のグループが開発した機械学習モデルは、X線画像から肺水腫のレベルを0(healthy)から3(very, very bad)まで4段階に定量できる。このシステムは30万枚以上のX線画像からだけでなく、放射線科医によるテキストでの報告書データからも学習が行われており、肺水腫を正確に説明するラベルが少ない中でも良く機能しているという。
同モデルはGitHubに公開されており、開発者のひとりLiao氏は、同分野の機械学習開発でベンチマークとなることを願う。今秋からフィリップス社とBeth Israel Deaconess Medical Centerの救急医療室の協力のもと、同施設のワークフローに開発モデルが統合され運用が進む予定である。肺水腫の定量は心不全のみならず、敗血症や腎不全のような浮腫と強く関連した疾患の管理にも役立つと期待されている。