英国・オーストリア・ドイツ・フランス・カナダなどの国際共同研究チームは、緑内障の診断・進行予測へのAI活用について、文献レビューを通し、「臨床実装を前提とした成長戦略」を探索している。研究成果は、眼科領域のオープンアクセスジャーナルであるTranslational Vision Science & Technologyにて公開されている。
チームの研究論文では、AIアプローチにより緑内障の診断と進行分析が行われた先行研究群を非体系的にレビューし、各方法論の詳細情報と成果が抽出されている。現在までに緑内障の検出に用いられる構造的検査(光コヒーレントストモグラフィーや眼底写真など)と機能的検査(視野テストなど)のいずれにおいても、スクリーニング検査として十分な感度・特異度を有するAIアルゴリズムが提唱されているという。さらにその両者の組み合わせで診断能力が向上すること、進行予測については従来の検査方法よりも、AI利用によってより早期に検出できる可能性が明らかにされている。
第一段階として疑い症例を抽出することについては「眼底写真を用いたAIアルゴリズムの活用によって、より効率的で効果的なスクリーニング手法を確立できる」とする一方、確定診断に近付けるには多面的なデータを含めて評価を行う必要があることを指摘する。また、AIによるアウトプットは臨床的意思決定を支援する補助システムとして有効に機能する可能性が高いが、現時点ではAIの外的妥当性やブラックボックス問題、規制上のハードルなど、克服されていない課題が少なくない点も強調している。