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マサチューセッツ総合病院 – COVID-19患者の予後を予測する機械学習ツール

先月、米ジョンズホプキンス大学が公表した「COVID-19での入院患者の予後を予測するAIアルゴリズム」は大きな注目を集めた(過去記事)。このほど、マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究チームは、”外来患者”における転機を予測する機械学習ベースのリスクスコアを開発した。

The Journal of Infectious Diseasesに公表されたチームの研究論文によると、「COVID-19 Acuity Score(CoVA)」と名付けられたこのリスクスコアは、本年3月から5月までにMGHの救命科や呼吸器クリニックを受診した、9,381人の成人外来患者情報から構築された。CoVAを2,205人の別患者で前向きに検証したところ、入院予測でAUC 0.76、重大な合併症で0.79、死亡予測で0.93と、ツールの高い予測精度と汎化性能が確認されている。

チームは年齢や性別、バイタルサイン、既往歴、胸部レントゲン画像などを含む30の予測因子を考慮してモデルを作成したが、そのうち年齢・拡張期血圧・血中酸素飽和度・COVID-19検査・呼吸数の5つが予後予測における高い説明力を示していた。CoVAによる自動スコアリングは、電子カルテシステムに組み込めるよう設計されているため、迅速な臨床評価が重要となる将来的なCOVID-19サージに向けた有効な対策の一つとして提案されている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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