産婦人科領域へのAI応用に関心が高まる中、スペイン・セビリア大学の研究者らは過去12年間にAIが妊婦へどのように利用されてきたかをまとめ、詳細なレビュー論文として発表している。
IEEE Accessに収載された論文「Artificial Intelligence in Pregnancy: A Scoping Review」では、2008年から2020年まで妊婦のために用いられたAI手法が考察された。なかでも感情を解析する「Affective Computing(AC)」の利用に焦点が当てられている。同論文では、妊娠中のリスク予測モデルに「感情」をパラメータとして考慮した研究がほとんどない(1.28%)ことを明らかとした。また、妊婦の精神的健康に焦点を当てた研究もわずか(5.1%)であった。
研究グループは「妊娠中のリスクに感情や精神状態が影響を与えるという科学的エビデンスが揃ってきている中で、AIおよびACの活用が十分に検討されていない現況には大きなギャップが生じている」と考察する。AIアプリケーションやウェアラブルデバイスの応用が進む今、同領域には明らかな発展の余地がある。