医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究血算から妊産婦の菌血症を予測する機械学習アルゴリズム

血算から妊産婦の菌血症を予測する機械学習アルゴリズム

血液は本来無菌であるが、ここに細菌を認める状態を菌血症と呼ぶ。免疫系による排除を免れた細菌は全身各所への蓄積を起こし得るほか、時に全身性の重篤な病態である敗血症を引き起こすことがある。アイルランド・ダブリンに所在するロタンダ病院の研究チームは、簡便な血液検査項目である全血球計算(血算)から妊産婦の菌血症リスクを推定する機械学習アルゴリズムを構築した。

21日、International Journal of Laboratory Hematologyに掲載されたチームの研究論文によると、血中細菌が陽性であった129名の女性と、3,830名のコントロール(血中細菌陰性)からこのアルゴリズムを導いたという。興味深い成果としては、好中球/リンパ球比(NLR)が菌血症を「解釈可能な指標として単独で妥当に」予測していることがある。菌血症の有病率が3%である場合、「NLRが20を超えていること」は特異度94.1%、感度27.9%、陰性的中率97.4%で菌血症を識別しており、NLR単独であっても日常臨床での利用余地が期待できるとしている。

一般血液検査項目から種々の疾患予測、リスク推定を行うことは医療AI領域における2020年のホットトピックのひとつとなっている。新型コロナウイルス感染症の拡大が深刻さを増すなか、限りある医療リソースを効率的に活用するための技術利用は、ヘルスケアにおけるあらゆるシーンで強く求められている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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