医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例WIDEX社 - AIによる補聴器の技術革新

WIDEX社 – AIによる補聴器の技術革新

米国国立衛生研究所(NIH)によると75歳以上の半数が何らかの聴覚サポートを要する状況にあり、高齢化にともなう補聴器への需要は高まる一方である。しかし、従来の技術による画一的な補聴器の調整では、個々の感性の違いなどから着用者の満足度を高める難しさがあった。AI/機械学習による技術革新は補聴器の分野にも進出し、個別化された自動調整機能をもつ補聴器の市販が進む。

国際的な補聴器メーカーWIDEXがPRNewswireに提供したプレスリリースで、同社はリアルタイムAIによる聴感コントロールが可能な補聴器を初めて提供したメーカーと謳っている。「自動環境適応機能」はユーザーの環境を常に分析して、環境特有のノイズを抑え、会話音声を聞き取りやすくしたり、コンサートなどでは臨場感あるサウンドを提供することもできる。「サウンドセンスアダプト」はユーザーがボリュームを上げるなど設定切り替えを行う度に学習し、同様のシチュエーションでの自動調整機能をもつ。「サウンドセンスラーン」は機械学習アルゴリズムの恩恵で、従来では膨大な回数を必要としていた個人の好みに合うように調整するA-B比較テストが十数回にまで省力化でき、2,000パターン以上の設定が可能となる。

Widex社の聴覚学責任者Lise Henningsen氏は「私たちの研究で、補聴器ユーザーはAI/機械学習によるパーソナライズされた設定をとても好み、80%の人がこの機能を他者に勧める結果でした。AI搭載の補聴器は、バーチャルアシスタントやスマートウォッチと並ぶ、新しいライフスタイル『ヒアラブル(hearables)』に近いものといえるでしょう」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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