米ワシントン大学の研究チームは、スマートスピーカーを利用することで、物理的な接触を持つことなく心拍をモニタリングすることのできる機械学習システムを構築した。研究成果はCommunications Biologyから9日、オープンアクセスの原著論文として公開されている。
チームの研究論文によると、スマートスピーカーから部屋に向けて「可聴域にない音波」を発することで、その反射音に基づいた心拍モニタリングを実現したという。スピーカーに心拍を把握させるため、あたらしいビームフォーミングアルゴリズムを構築しており、これが新技術の根幹をなす。興味深いことに、研究チームはアルゴリズムの構築をトレーニングセットから行うのではなく、オンザフライで学習する機械学習アルゴリズムを設計し、スマートスピーカーによる心拍識別を実現させている。当該システムはまた、規則的な心拍と不規則な心拍を適切に識別しており、不整脈の発現を捉えることも支援する。
著者らは「自宅で継続的に施行可能な低コスト検査であり、不整脈への早期の診断・介入を実現させる画期的技術となる可能性がある」点を強調する。今後、技術革新に伴って日常環境下における医学的スクリーニングは当たり前となる可能性が高いが、本システムはデバイスを身につけることさえ不要な非侵襲的かつ簡便な検査手法であり、特に大きな潜在的有用性を孕んでいると言えるだろう。