オランダ・ナイメーヘンを本拠とするAIソフトウェア企業であるThironaはこのほど、嚢胞性線維症(cystic fibrosis)をCT画像から自動スキャンするAIソフトウェアのリリースを公表した。嚢胞性線維症は常染色体劣性遺伝疾患で、日本においては非常に稀な疾患であるが、欧州ではその罹患率が300倍程度と、発生に人種差の大きい難病としても知られている。
Thironaが明らかにしたところによると、PRAGMA-CFと呼ばれるこのAIソフトウェアは気道の異常や虚脱肺組織など、嚢胞性線維症に関連する肺の不規則性をCT画像から検出することができる。現在、同等の作業を専門家によって行うと患者1人あたり最大数時間かかるとし、PRAGMA-CFによる解析処理が数秒で終わる点で優位性を強調する。
この新しいアルゴリズムは、Thironaの画像分析パッケージであるLungQの一部として提供され、見逃されがちな希少疾患検出のセーフティネットとなる。同社は昨年10月段階で胸部CTスキャンにおけるAIソフトウェアの特許を取得し、多数の競合企業がひしめく同領域で確かなポジション取りを進めている。