医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例進化を続けるスマートトイレのAI研究

進化を続けるスマートトイレのAI研究

日々の排泄物を解析して健康状態を把握する「スマートトイレ」という構想が実用化に近づいている(過去記事)。5月21日から23日まで開催された国際会議「DDW 2021(Digestive Disease Week 米国消化器病週間)」では、既存トイレの配管に後付けする方法で、パイプ内を通過する便の性状や血液混入の有無を解析できるAIツールが発表された。

EurekAlertでは、DDW 2021で発表された米デューク大学ダーラム校のグループによる同研究の概要を紹介している。3,328枚の便画像から畳み込みニューラルネットワークで構築されたAIアルゴリズムは、トイレのパイプ内を通過する便の画像から、便の形態を分類するブリストル・スケールに従って85.1%の精度で分類できた。また便中の肉眼的な血液の混入を76.3%の精度で検出できたという。

同研究の主任研究員でデューク大学のスマートトイレラボの創設者であるSonia Grego博士は「トイレの配管に後付けして、水を流す以外に何もする必要のない技術のため、患者が使用意欲をもってくれると期待しています。炎症性腸疾患(IBD)の再燃や治療反応をモニタリングしたり、状態を自分で報告できない長期療養施設の患者などに特に有効でしょう」とインタビューに答えている。研究チームはこの技術に便の生化学マーカー分析機能の追加も検討中とのことで、さらなる続報が待たれる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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