前立腺がんの診断に針生検は重要だが、MRIによる事前の画像診断が「生検の必要性」を判断する基準となっている。英ケンブリッジ大学からのスピンアウト「Lucida Medical」は、MRIから前立腺がんを検出するAIソフトウェア「Pi」を製品化しており、同領域のトップランナーの1つである。
Lucida Medicalの1日付プレスリリースによると、前立腺がん検出ソフトウェア「Pi」が欧州医療機器規制のCEマークを取得したことを発表している。同社の技術は、MRI画像中のがん病変部マーキングを自動化し、読影医の負担を軽減することができる。また、同システムは高リスクがんの見逃しを減らすとともに、低リスクがんに対する過剰な生検を回避することにも貢献する。2021年3月の欧州放射線学会(ECR)では、先行研究でMRIから高リスク前立腺がんの見逃しが12%であったものを同社のAIが7%に低減し、低リスク前立腺がんの55%にみられた過剰な生検を24%に低減したという研究成果が発表されていた。
COVID-19によってがん検診全体に遅延が生まれており、多くの待機者を抱えているという社会問題がある。Lucida Medicalは今回のCEマーク取得で、欧州内の医療機関との提携が広がり、臨床導入が進むことを期待している。同社のCEOで共同創立者であるAntony Rix氏は「前立腺がん患者の予後を改善し、NHSのような医療システムのコストを削減する点において、私たちの技術は大きな可能性を持つ」と語っている。
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