緑内障は視力低下や失明の主要な原因疾患であり、社会の高齢化に伴い、世界での有病者は2020年の7600万人から2040年には1億1180万人まで増加するとの推計もある。網膜画像を手作業でチェックする検査プロセスは、時間がかかるとともに専門家の主観的評価に依存するため、AI手法に対する期待が大きい領域でもある。
シンガポールの南洋理工大学(NTU: Nanyang Technological University)では、AIによる緑内障スクリーニングの新しい手法を開発している。学術誌 Methodsに発表された同AI手法では、「ステレオ眼底カメラ(複数の角度の2次元画像を組み合わせることで3次元画像を構成する検査機器)」をアルゴリズムで解析する。その結果、緑内障罹患の検出において精度97%、および感度95%を達成した。精度の安定性を維持しながら、特に感度については従来の深層学習ベースの手法で最高レベルであった89%を上回ったと、研究グループは成果を強調する。
今後、研究グループはソフトウェアを携帯電話のアプリケーションとして移植することを検討しているという。スマホ用のレンズアダプターと組み合わせることで、より身近で実用的なスクリーニングツールとなることが期待される。
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