製薬会社大手バイエルは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)を診断するAIソフトウェアについて、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得たことを公表した。CTEPHは日本においても指定難病に該当する呼吸器難病として知られるが、その画像診断は非常に難しく、AIソフトウェアによる早期診断法の確立に大きな期待がかかっている。
米メディアHealthcare Weeklyの報道によると、このAIソフトウェアは、CTEPHの標準的診断法であるCT肺アンギオグラフィを解析し、CTEPHに伴う血栓や肺高血圧所見を捉えることで、放射線科医による診断をサポートするという。バイエルのOlaf Weber医師は、「このAIツールにより、より早く正確なCTEPH診断を実現したい」としている。
CTEPHの有病率は100万人あたり8~40人程度と極めて少なく、その症状が他の肺疾患と類似していることから、診断の難しい呼吸器疾患の1つとして知られている。英Verdictが報じたところによると、心臓や肺に複数の併発症を持つなど、医師の診断を阻害する複雑な状況においてこそ、このAIソフトウェアが有効となる可能性が高いとしている。