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AIがAiに光を当てる -死亡時画像診断への取り組み-

Autopsy imaging: 死亡時画像診断をご存知であろうか。Ai (iは小文字)は略語で、Artificial IntelligenceのAIと区別される。Aiは死後のCTやMRI撮影で、死亡時の病態や死因を究明する取り組みである。AI技術でAiを発展させる試みを紹介する。

学術誌Autopsy and Case Reportsでは、腫瘍の量が微小でも死亡に至る治療抵抗性のがん症例にVirtual Autopsy (Virtopsy: Aiとほぼ同義)を行い、機械学習で画像解析する手法が提唱されている。従来の解剖で困難な総腫瘍量を定量し、がん悪液質など病態の理解を深め、がん標的治療の発展が期待される。学術誌Brain Informaticsには、神経変性疾患患者の死後の脳MRIに機械学習を応用し、神経病理学との整合性を解析する手法が紹介されている。脳容積減少のモニタリングで神経変性疾患の早期診断を補助し、初期で進行を遅らせ止めるための治療法開発につながるという。

生体画像の読影でも人員不足が指摘される放射線科医が、Aiのすべてを担当するのは現実的ではない。また、死後変化に適切な解釈を加えられる放射線科医は少ないといわれ、Aiの普及にはAIによる支援が解決策となるのかもしれない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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