AIによる感染制御 – 腸内細菌叢研究

人間はおびただしい数の微生物と共生しているが、相互作用として重要な役割を果たすのが細菌である。ヒトに定着した細菌の9割は消化管におり、特に腸内細菌叢は各種疾患との関わりで、近年大きな注目を集めている。今回は、腸内細菌叢のAIによる解析を通した感染制御研究の一例を紹介する。

米ボストン・Brigham and Women’s Hospitalの公表によると、同院の病理医でHarvard Medical Schoolの助教・Georg Gerber氏は、AIを利用した腸内細菌叢の解析により、どの種の細菌がどのようにC. difficile(院内感染の原因菌として広く知られる)の感染を抑制するのかを研究しているという。研究チームが開発した機械学習アルゴリズムは、C. difficileへの感染リスクが高い患者を識別し、感染・反復感染の予防に役立てることができるとのこと。

日本においても、病院や介護施設などでのC. difficileの集団感染が時折みられ、問題となっている。多くは軽度の下痢など深刻な病態とならず軽快するが、高齢者や免疫能の低下した者においては致死的となることもある。手洗い・うがいだけでない、多面的な感染制御法の開発が期待されている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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