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ハーバード大学 AIでタンパク質立体構造の推定を超高速化

あらゆる生体組織を構成するタンパク質はDNAでコードされている。コード配列の解析が比較的容易となっても、タンパク質の機能を決定づける立体折りたたみ構造の推定には膨大な作業時間を要してきた。

米メディアVentureBeatは、ハーバード大のグループによるタンパク質立体構造の高速分析手法を紹介している。成果は学術誌Cell Systemsに報告され、ソフトウエアはGitHubから無償で入手できる。アミノ酸が最も安定した結合角度と回転角をとるという物理特性への機械学習で、従来の数時間単位の分析をミリ秒レベルに短縮し、10-100万倍の速度を可能にしたという。

これまでタンパク質立体構造の推定には、既に判明しているアミノ酸の配列テンプレートから演算するような方法がとられてきた。前年の国際コンペティション(CASP)の最優秀チームとの比較で、新手法は圧倒的な高速化のみならず既存テンプレートのない未知の構造の推定にも精度が向上し効果的といわれる。チームの責任者は、商用アプリケーションへの応用により、タンパク質構造と機能がより広範囲に飛躍的に解明されることを期待している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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