あらゆる生体組織を構成するタンパク質はDNAでコードされている。コード配列の解析が比較的容易となっても、タンパク質の機能を決定づける立体折りたたみ構造の推定には膨大な作業時間を要してきた。
米メディアVentureBeatは、ハーバード大のグループによるタンパク質立体構造の高速分析手法を紹介している。成果は学術誌Cell Systemsに報告され、ソフトウエアはGitHubから無償で入手できる。アミノ酸が最も安定した結合角度と回転角をとるという物理特性への機械学習で、従来の数時間単位の分析をミリ秒レベルに短縮し、10-100万倍の速度を可能にしたという。
これまでタンパク質立体構造の推定には、既に判明しているアミノ酸の配列テンプレートから演算するような方法がとられてきた。前年の国際コンペティション(CASP)の最優秀チームとの比較で、新手法は圧倒的な高速化のみならず既存テンプレートのない未知の構造の推定にも精度が向上し効果的といわれる。チームの責任者は、商用アプリケーションへの応用により、タンパク質構造と機能がより広範囲に飛躍的に解明されることを期待している。