医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究カリフォルニア大学サンフランシスコ校 - 脳の信号をAIアルゴリズムにより音声化する技術を発表

カリフォルニア大学サンフランシスコ校 – 脳の信号をAIアルゴリズムにより音声化する技術を発表

ブレイン・マシン・インタフェースと呼ばれる、脳の活動と機械を結びつけ人間の感覚機能を補完または拡大する先進技術がある。医療の領域では、脳卒中・外傷性脳損傷・多発性硬化症・パーキンソン病のように脳神経疾患の重症例で発声機能が失われた患者に、コミュニケーション能力を回復させる研究として期待されている。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校のグループが、Natureに発表した論文では、既に別の治療目的で脳に電極が装着されたてんかん患者の、唇・舌・顎・咽喉へ送られる脳の信号をAIアルゴリズムで予測し、合成音声に変換する技術が示された。従来の視線で単語を綴るシステムでは、発話スピードが1分当たり8単語程度であることと比較し、毎分150語程度を引き出せる可能性があるという。

米メディアNBCによると、この研究は、心の動きを読み取ろうとはせず、口の動きに関する脳の具体的命令に焦点を当てたところが大変ユニークであるという。現状の課題は、本人の健全に近い発語のデータが十分収集されていることが必要であり、既に障害が起きてしまい過去のデータがない例では応用が難しい点にある。しかし、飛躍的な発語スピードの改善はリアルタイムでの自然なコミュニケーションを達成できる可能性があり、発語障害の患者に大きな光明となるかもしれない。

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事