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薬物の有害事象を抽出する新しい深層学習アプローチ

米国テキサス大学と中国大連理工大学の研究チームは、自然言語で記述された臨床文書から薬物の有害事象発現を捉える、新しい深層学習アプローチを開発した。

学術誌・Journal of the American Medical Informatics Associationにて28日公開された論文抄録によると、チームは、固有表現抽出(Named Entity Recognition)と関連分類(Relation Classification)の2コンポーネントからなる新しいシステムを開発したとのこと。それぞれに深層学習モデルを持ち込んだところ、薬物有害事象発現の抽出精度は、古典的な機械学習アプローチを大幅に上回っていたという。

特に罹患疾患数が増え、多数の内服薬を抱える高齢者などにおいては元来の症状も多様であることから、薬物ごとの有害事象の発現を正確に把握することは簡単ではない。電子カルテの基本機能として、有害薬物反応を自動抽出・アラートしてくれるシステムの実現は、臨床医にとっても大きな助けとなるに違いない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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