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Facebookの投稿から病気を予測するAI研究

SNSの投稿には健康に関する個人情報が潜在的に含まれている。Facebookの記事から糖尿病やうつ病など21の病気を予測するAI研究が、オープンアクセスの学術誌PLoS ONEに発表された。

米メディア DocWire Newsによると、ペンシルベニア大学医学大学院のメンバーが中心となり、約1000人の研究参加者におけるFacebook記事を解析した。結果として、『研究対象21全ての疾患がFacebook単独で予測できた』、『人口統計にFacebookを併用すると18疾患で予測精度が向上した』、『糖尿病やうつ病、妊娠など10疾患ではFacebook単独で人口統計の予測精度を上回った』という。例として、”drink”や”bottle”といった単語の常用はアルコール乱用の指標となり、敵対的な表現からは薬物乱用や精神疾患を予測できる、と著者らは述べている。

同研究の課題として、1.投稿内容が正直とは限らず自虐・皮肉になりやすい、2.プライベートとビジネスで表現に差が生じる、3.アメリカ人の米国内使用に限る研究デザインであり他国のSNS文化との違いが未検討、といった指摘がある。しかし、自然言語処理で膨大な記述内容を解析するのはひとつの潮流であり、『SNSから医薬品の安全を監視するAI(過去記事)』のように、医療分野での応用事例は今後も続くだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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