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サーモグラフィーでの乳がん診断はAIによって確立されるか?

X線撮影によるマンモグラフィーは、乳がん早期発見のための基本的な検査手法である。一方、熱の分布を赤外線撮影するサーモグラフィーが、乳がんスクリーニングに有効という説も唱えられてきた。しかし科学的根拠が乏しく、マンモグラフィーを代替するには至っていない。

インドのメディアYourStoryは、サーモグラフィーをAIアルゴリズムで解析する乳がん診断技術Thermalytixを開発した、インドのスタートアップNiramai社を紹介している。マンモグラフィー撮影時の乳房圧迫の痛みを避けられる点や、アジア圏女性に見られる高濃度乳房でのマンモグラフィーのがん検出率低下に対抗できるとして、同社はサーモグラフィーの利点を強調し、有効性の検証を進めている。日本のドリームインキュベータ社が資金調達をリードしていることも話題となった。

米国FDAは2019年2月のプレスリリースで、「乳がん診断にサーモグラフィー単独でマンモグラフィーを代替すべきではない」と警告している。これはサーモグラフィーの有効性を不当に強調しマンモグラフィーを行わない民間団体やホメオパシー・クリニックに対抗する声明で、これまでも複数回出されてきた。果たして、AIによる乳がんサーモグラフィー診断は従来の技術的な限界を超えて、科学的根拠を確立できるだろうか?

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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