肥大型心筋症は心筋の異常な肥大を生じ、心不全や突然死の原因ともなり得る疾患である。約半数に遺伝性が認められる一方、ほぼ無症状で経過することも多いため、未診断が大きな問題となってきた。スマートウォッチを利用し、この肥大型心筋症をスクリーニングしようとする取り組みを紹介する。
Health IT & CIO Reportが報じたところによると、米サンフランシスコで循環器疾患を取り扱うMyoKardia社の研究チームは、スマートウォッチが搭載するバイオセンサー(特に光電式脈波計)を利用して肥大型心筋症を識別するAIアルゴリズムを開発したという。npj Digital Medicineに掲載されたチームの論文では、同アルゴリズムが98%の正確性を示したことを明らかにしている。
定期通院のある人を除き、一般集団において肥大型心筋症の存在を早期から捉えることは容易ではない。スマートウォッチのバイオセンサーを利用したこのAIアルゴリズムは、肥大型心筋症の早期発見・早期治療介入を一般化し得るもので、新しいスクリーニング法として大きな可能性を秘めている。