「あなたの胸の鼓動は顔から読み取れる、そして血圧上昇も」
流行のApple Watchを筆頭に、ウェアラブルデバイスにとっては、身体からの信号をどのように検出するかが課題となる。共通の欠点として、接触型のセンサーは激しい運動で不正確になる。また、デバイスのためにユーザーの行動を変える要求が強いと、やがてデバイスを使わなくなってしまう。それらの課題を克服する方法として、非接触型の画像による生体信号検出システムが注目されている。
DIGITIMESによると、台湾の国立交通大学(NCTU)のBing-Fei Wu教授に率いられたFaceHeart Inc.は、カメラを通じて顔の情報を取得し、独自開発のアルゴリズムで心拍数と血圧を表示するシステムを開発した。例えばトレッドミルで走っていても情報は検出可能であり、心拍数だけならばカメラが高精度の必要もなくフレーム速度が30fpsあればよい。血圧の検出には高精度カメラを用いるが、ハードウェア大国の台湾では製造メーカーには事欠かない。電子製品に慣れない高齢者のために用意したウェアラブルデバイスが結局使われなくなってしまうことはよく聞く話である。それが、テレビの前に設置したカメラで血圧と心拍数を計測するならば、抵抗なく受け入れられるだろう。
Wu教授は2つの方向のビジネスモデルを考えている。ひとつはFaceHeartのシステムをカメラに組み込むため、ソフトウェアを認証させること。もうひとつが、既存のカメラ会社と提携することという。AI技術をビジュアルに組み込むのはトレンドだが、FaceHeartは、大衆的な顔認証システムではなく、医療用に使えるほどの正確な生体信号検出を追求したことで、競合と差別化した新しいビジネスチャンスを目指しているという。例として金融機関の顔認証セキュリティは、単に顔のビジュアルを高精度に認識するだけでなく、FaceHeartのような個人の生体信号を組み合わせる方法が標準的になってきている。