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凪いだ海から昨日の嵐を見分ける目 – 隠れた心房細動を識別するAI技術

心房細動は不整脈の一種で、放置すると脳梗塞や心不全のリスクを高める。治療介入が必要となる重要な疾患だが、心房細動は不整脈の発現タイミングや持続時間がまばらで、平時には心電図変化がみられないことが診断の遅れを招いていた。米メイヨークリニックの研究チームは、非発作時の心電図からも心房細動の存在を識別できるAIアルゴリズムを構築した。

学術誌The Lancetに公表されたチームの論文によると、18万人を超える患者から約65万件の「不整脈発作のみられない心電図画像」を用いてこのアルゴリズムを導いたという。AIは、医師の目には正常所見にしか見えない心電図波形からも、潜在的な心房細動の存在を83%の正確性をもって識別できた。

非発作時にも心房細動を識別できるようになることは、診断の見逃しや遅れを直接的に予防する。持続的な心電図測定を実現するデバイスなど、比較的専門性の高い医療的設備の乏しい環境においても大きな助けとなるだろう。凪いだ海から昨日の嵐を見分ける目 – 医療AIの革新的なアプローチは他疾患にも拡張されていくに違いない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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