外科手術後の合併症を予測する機械学習アルゴリズム

外科手術は、がんをはじめとした悪性疾患の根治療法ともなる、現代医療における大きな柱のひとつである。一方で、外科手術には一定の割合で合併症を伴うため、この発症予測と予防、早期治療が重要である。米オハイオ州立大学外科腫瘍学の研究チームは、外科手術後の合併症を予測する機械学習アルゴリズムを構築した。

学術誌Journal of Gastrointestinal Surgeryにて公表されたチームの論文によると、米国外科学会(ACS)の「手術の質改善プログラム(National Surgical Quality Improvement Program)」に集積されたデータベースを活用し、肝臓・膵臓・大腸のいずれかの外科手術を受けた患者データを抽出したという。これらから導いた機械学習アルゴリズムでは、合併症の発生をc統計量0.74と比較的高い精度で予測しており、合併症ごとの発生予測でも変わらない精度を維持していた。特に外科手術後の脳梗塞発症では、c統計量0.98と最も高い値を示した。

過去の検査結果を含め、無数とも言える患者ごとの背景データを全て把握し、合併症予測を適切に行うことは簡単ではない。電子カルテの一般化に伴い、AIを利用した自動予測とアラートシステムは、医師サポートの人工知能活用事例として期待が高まっている。

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TOKYO analytica
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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。