英国の新興企業Babylon Healthは「AIツールで地球上のすべての人に手頃な価格の医療サービスを届ける」という計画を掲げる。英国とルワンダで事業を展開しながら、中東・米国・中国への進出を望んでいる。
米経済誌Forbesは8月16日の記事で、Babylonが提供する医療アプリを紹介している。GP at Handは、その名の通り、手の中のスマホアプリで、英国NHS内のGP: General Practitioner(初期診察にあたる一般開業医)に年中無休でアクセスできる。アプリ内の機能「 talk to a doctor」では、医師からのアドバイス、治療についての話し合い、そして処方箋が患者宅へ届けられる。もう1つの機能「Healthcheck」は、患者の回答した家族歴・個人のライフスタイルを医療データベースと照らし合わせ、AIによる健康レポートと考察を提供する。
一方で、アプリの人気と成長は、一時的な痛みを伴うかもしれない。ロンドン自治区のハマースミス・アンド・フラムは、臨床委託グループ(CCG)という立場でGP at Handに登録されたすべての患者の医療費を支払う。その自治区に住んでいない患者も含まれるため、アプリの人気により医療費負担の高騰と不均衡が発生した。また、アプリは利用しやすい若年層に人気となり、高齢者との間での格差も指摘されている。しかし、GP at Hand アプリとAI技術による効率化は、最終的に英国NHSの全体的な医療コストを下げると予想されている。1つのCCGに負担をかけず、NHS全体の財務構造にうまくアプリを適合させる方法が検討されているという。