新研究 – 医療画像において医師とAIに診断精度の違いはない。ただし・・・

近年の深層学習技術の発達により、医療画像からの疾患診断AIは急速な発展をみせた。関連する研究報告数もここ数年で加速度的に増えているが、この度「医師とAIの診断精度を比較した論文」を対象としたメタアナリシス(複数の研究報告を統合解析するもので、高いエビデンスを持つ報告とみなされる)が初めて示された。研究成果は学術誌The Lancet Digital Healthにて25日公表された。

EurekAlert!の報道によると、研究チームは2012年から2019年の間に公表された2万を超える関連研究論文を精査したという。しかし、研究デザインをはじめとするアプローチそのものに難があるものがほとんどで、主張を十分に支持するだけの”頑健な”手法に裏打ちされた研究報告はわずか1%に満たなかった。一方、ごく少数の高品質な研究においては、疾患の種類を問わずに「専門医による診断精度とAIによるものに大きな差はみられなかった」とのこと。

かねてより、AI医学研究において妥当性の検証が不十分であることは度々指摘されてきたが(過去記事)、今回の研究チームが行なったレビュープロセスの結果においてもこれに違わない。画像診断AIの潜在的有用性は十分に明らかにされていることから、今後は外的妥当性の検証(アルゴリズムを他集団、特に実臨床現場においても比較検証すること)を重点化することで、将来性の有望な技術の「確かな発展」に繋がるものとなるだろう。

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TOKYO analytica
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。