妥当性の検証が不足するAI医学研究

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妥当な医科学研究の成果には、異なる条件・環境から取得したデータでも同等の結果が示されることが求められる。つまり、多様なデータに基づく検証作業は、科学的エビデンスの構築には必須のものと言える。一方、近年のAI医学研究においてはこのプロセスを軽視する流れもみられ、その危険性を指摘する研究者達がいる。

Health Imagingが8日報じたところによると、韓国の研究グループが516の出版済みAI医学研究を調査したところ、外部データを利用した妥当性の検証を行っていたのはわずか6%であったという。本来的にアルゴリズムが臨床的に妥当であることを示すには、追跡研究・多施設研究・前向きデータ収集の3点は欠くことができないとしている。

AIアルゴリズム構築では多くの場合、単一のデータセットを、機械学習に用いるトレーニングセットと、それによって得られたアルゴリズムを検証するためのテストセットに分ける。これらの2セットを切り分けることで妥当性を担保しているが、出自の同じデータは同質であることが多い。外部データによる検証さえ経ていない研究成果が、優れたアルゴリズムとして世に受け入れられることは、実に多大な危険性を秘めている。

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TOKYO analytica
TOKYO analyticaは、データサイエンスと臨床医学への深い造詣を武器とし、健康に関するあらゆるモノ・コトのエビデンス構築・普及をお手伝いするメディカルコンサルティングプロジェクトです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。