救急部門で肺炎が疑われた患者に胸部X線検査が行われた際、撮影から放射線科医師の読影診断まで一定の時間を要する。救急部門には電子臨床意思決定支援ツールが配備されていないことも多く、臨床医にAIが診断情報を直接提供できるローカルのシステムに対する希望は強い。
Medical Design & Outsourcingは2日、スタンフォード大学の機械学習グループによって開発されたAIシステム「CheXpert」を紹介している。同システムは診断精度を担保しながら、AIを利用することで、肺炎診断から治療に至る診療プロセス全体の時間短縮を実現した。核となる肺炎の識別アルゴリズムは、計20万におよぶ胸部X線画像からの構築と妥当性検証を行ったという。従来、20分程度を要した画像撮影後のプロセス(放射線科医による読影 – 読影レポートの受け取り・解釈 or 自然言語処理 – 治療開始)を、このシステムでは10秒未満に短縮することに成功した。
肺炎の診断から抗菌薬治療開始までの時間が短縮されることで、臨床上のメリットがどの程度生まれるか。この秋からのシステム実装後に検証が進められてゆくこととなる。