量子コンピューターが創薬を変革させる – GoogleによるNature論文からの未来像

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2019年10月23日はコンピューターの歴史にとって記念すべき日となるか?その日、学術誌Natureには、「量子コンピューターがスーパーコンピューターの能力を超える量子超越性を史上初めて実証した」とする、Google発の論文が発表された。すぐさま同分野の競合であるIBMから反論が発表されるなど熾烈な開発競争が伺える。今回の発表の歴史的な意義は、いずれ時間が証明するであろう。

MIT Technology Reviewのインタビューで、GoogleのCEOであるSunder Pichaiはこう語る。「私たちが今回の発表に興奮している理由のひとつに、分子構造の話があります。古典的なコンピューターでは分子の基本構造さえ理解が不十分です。私は薬をみるとき、いつか量子コンピューターが進歩をもたらすと確信するのです」

新薬開発に膨大なコストと年月が費やされていることは常に指摘されており、AIが果たす役割も期待されている(過去記事)。量子コンピューターが実現するであろう超越した演算能力は、分子構造の解析などにおいて期間を大幅に短縮し、コスト削減にもつながり、創薬のあり方を根本的に変える可能性を秘めているとされる。量子コンピューターの開発競争が医療に起こし得る変革として今後も注目したい。

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TOKYO analytica
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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。