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米国眼科学会2019より – 糖尿病性網膜症のリアルタイムスクリーニングAI

米国眼科学会(AAO)2019が今月、米サンフランシスコで開催された。眼科学を巡る最新研究報告が多くなされるなか、AIを利用した先端技術研究に関する報告は大きな注目を集めた。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームは、糖尿病性網膜症スクリーニングのための、高精度リアルタイムAIを構築した。

The Economic Timesの報道によると、チームのスクリーニングAIは、眼科専門医による一切の情報入力なく、60秒のスキャンにより感度95.5%/特異度86%と高精度に糖尿病性網膜症を識別できるという。EyeArtと呼ばれるこのAIシステムは、15カ所の医療施設において893人の患者網膜を解析することで構築されており、眼科専門医たちによる臨床的な有効性評価も既に行われているという。

糖尿病性網膜症は糖尿病患者にみられる代表的な合併症のひとつで、血糖コントロールが良好でない場合、時間経過とともに発症リスクが増大する。成人における失明の主因でもあることから、国・地域を問わず社会的課題のひとつとして挙げられる。早期の段階であれば有効な治療方法が存在するため、疾患スクリーニングと早期発見・早期治療介入の意義が大きく、眼科専門医さえ介さない自動スクリーニングシステムの実現にはAIに対する期待も著しい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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