医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療系AIスタートアップ・ベンチャー企業の動向デジタルバイオマーカーで疾患予測 - 英Medopadが2500万ドルを調達

デジタルバイオマーカーで疾患予測 – 英Medopadが2500万ドルを調達

次世代医療のキーワードのひとつと言える「ウェアラブルデバイスによる疾患予測・モニタリング」は、近年その適用範囲を飛躍的に広めている。英国のヘルス系AIスタートアップMedopadは、昨年Tencentとの提携の元、パーキンソン病患者のリモートモニタリングシステムを開発し、大きな話題を集めた。

英メディアThe Telegraphの報道によると、Medopadはこのほど、製薬大手バイエルのベンチャーキャピタル部門・Leapsから新たに2500万ドルの資金を調達したことを公表した。これらの追加資金は、パーキンソン病や心疾患を含む複数の疾患群の発症を予測する「デジタルバイオマーカー」の臨床試験にあてられるという。MedopadのCEOであるDan Vahdat氏は「我々の野望はシンプルだ。人々があと5年、10年と長く生きられる世界を作りたい。手の打ちようがある疾病で早期に亡くなることはあってほしくないんだ」と話す。

Medopadは2011年に設立され、アプリやウェアラブルデバイスを用いた患者の生体信号モニタリングに特化した開発を続けてきた。昨年には競合にあたる米Sherbitを買収するなど、同分野における存在感を強めている。一方、生体データを利用した疾患予測・管理サービスは世界的に乱立が始まっているが、妥当な臨床試験がなされた例は多くない。精緻な医学的検証と科学的エビデンスの蓄積が、有効性の証明と差別化に繋がることは間違いない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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