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ポータブルで結核の高精度検出が可能なAIデバイス

米オハイオ州クリーブランドに本拠を置く医療系スタートアップDiascopic LLCは、単一サンプルから1分未満で結核菌の検出が可能な、新しいデジタル診断プラットフォームを開発した。研究開発は米国立衛生研究所(NIH)の助成金を受けて行われたという。

Medica Magazineの報道によると、Diascopicは顕微鏡標本の即時検査を可能とするポータブルのデジタル診断プラットフォームiONを開発したとのこと。高度な専門知識と装置、長い検査時間を要する従来の方法と異なり、iONに搭載されるAI画像解析ソフトウェアでは単一サンプルから60秒未満での高精度な検出を可能とした。またプロセスの完全デジタル化により、解析を繰り返すほどに巨大な参照ライブラリを構築できるため、AIアルゴリズムの精度を継続して向上させることが可能になるという。

結核菌は世界全ての国々にみられ、紀元前から人類と共にある歴史の長い病原体であるが、現在でも感染症による死因の多数を占めるなどその重要性は変わらない。Diascopicが受けたNIHの助成金(SBIR)は米国内中小企業における技術開発を支援するものだが、助成金獲得には極めて高い競争を突破する必要があり、同社への期待は当初から大きいものであった。今後は単回施行あたりのコスト削減、必要なスキルの低減、診断スピードのさらなる向上を目指すという。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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