退院後に心不全が再び増悪し、再入院するリスクは90日以内で最大30%ほどと見積もられる。この重要な期間の患者状態管理のため、胸部に付着させたセンサーパッチで常時モニタリングを行い、被験者の心電図を含む各種パラメーターからAIにより差し迫った再入院リスクを予測するプラットフォームの開発が進んでいる。米国でユタ大学とソルトレイクシティヘルスケアシステムが研究している同システムの成果は学術誌 Circulation: Heart Failure に発表された。
医療機器関連メディアMedicaldevice-network.comでは、同研究について報じており、100名の被験者で心不全の再入院が差し迫ったことを、平均10.4日前・感度76-88%・特異度85%で予測することができたという。胸部センサーパッチからはBluetooth経由でスマートフォンに心電図などの情報を送信し、解析プラットフォームに送られた。心電図以外に心拍数・呼吸数・歩行・睡眠・姿勢に関する情報が含まれ、患者の正常時ベースラインを解析、心不全増悪によるデータ逸脱を予測する指標が設定されている。
装置は大規模臨床試験に進み、患者状態変化のアラートが医師に伝わることで早期介入できた場合の効果を検証予定とのことである。研究チームのチーフで発表の筆頭著者であるユタ大学のJosef Stehlik博士は「モニタリングと早期介入で心不全の再入院率を下げることができれば大きな進歩です。入院滞在期間を短くし、患者の生活の質が向上することを期待しています」と語った。