AIが「がん細胞における人種差」を明らかに

Photo by iStock

米オハイオ州に所在するケースウェスタンリザーブ大学の研究チームは、がん細胞に対するAIを用いた画像分析により、黒人男性と白人男性の前立腺がんに重要な組織学的差異があることを示した。研究成果は先週、学術誌Clinical Cancer Researchにて公開された。

チームは、前立腺がん手術後の再発リスクが高く「補助療法の恩恵を受ける可能性の高い患者」を、画像単独で識別するためのAIアルゴリズムを開発した。当初、患者データは約80%が白人であったため、データセット全体から導いたモデルには強いバイアスが内包されていた。一方、人種ごとのモデルを作成すると、特に黒人患者における再発リスク予測の精度が6倍に向上し、人種間のがん細胞における組織学的差異のあることが考えられた。さらに腫瘍自体の評価だけではなく、間質の画像評価も行ったところ、化学療法や免疫療法といった治療法ごとの再発率予測における精度にも向上がみられたという。

研究に携わった同大学のPatrick Leo博士は、Medical Xpressの取材に対し「全てを一緒くたにしたモデルを作成するだけでは、少数派の患者のパフォーマンスが低下するリスクがある。母集団に固有の側面を慎重に含めることが欠かせない」とし、細胞レベルでの研究にも多様性を考慮する必要性に言及している。

前の記事中国 Antwork – ドローン物流で新型コロナウイルスに対抗
次の記事潰瘍性大腸炎の内視鏡評価で生検を不要にするAI – 東京医科歯科大学
TOKYO analytica
TOKYO analyticaは、データサイエンスと臨床医学への深い造詣を武器とし、健康に関するあらゆるモノ・コトのエビデンス構築・普及をお手伝いするメディカルコンサルティングプロジェクトです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcherを経て東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。