新型コロナウイルス患者の治療にあたる医療従事者にとって、二次感染のリスクはゼロに近づけたい。MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)で開発された装置「Emerald(エメラルド)」はCOVID-19患者の遠隔モニタリングに貢献している。
CSAILのニュースリリースでは、AIによって環境中の無線信号を解析する壁掛けのボックス型装置エメラルドについて解説動画付きで報じている。患者の部屋に設置された装置は、呼吸数などバイタルサイン・睡眠・歩行速度のような情報を環境中から遠隔で取得する。例として、感染で増加傾向にあった呼吸数が基礎的呼吸数18回/分程度に減少したり、すばやく室内歩行できるようになったデータは、回復の兆候と解釈できる。開発チームはボストンの病院や介護施設においてCOVID-19患者とそれ以外の双方での実証研究を重ねている。
感染が明らかでなくても、高齢者や基礎疾患をかかえるハイリスクの人々にとって、本来、健康管理に必要なあらゆる人的接触を今後どうするか。医療従事者と患者の互いにとって悩ましい課題となっている。対象者に触れることなく情報を取得するリモートセンシング技術は、新型コロナウイルスの脅威下においてその必要性を高めていくのかもしれない。