新型コロナウイルスによるパンデミックが医療崩壊を招く要因のひとつに、集中治療室(ICU)が収容可能なベッド数と、そこに配置される人工呼吸器などの設備および人員に対する圧力がある。その需要を予測するシステムを、英国でNHSとケンブリッジ大学のチームが開発した。
NHS Digitalのニュースリリースによると、COVID-19 Capacity Planning and Analysis System (CPAS)と呼ばれる同システムは、イングランドの公衆衛生サービスのCOVID-19入院患者データに基づき、ICU入室および人工呼吸器が必要な患者数、ICU入室期間や入院日数を予測する。この予測によって病院では患者に必要な医療リソースを計画したり、不足分の補充、過剰なものは他病院へ共有することができるようになる。CPASはケンブリッジ大学で開発された「Cambridge Adjutorium」という機械学習エンジンが中心となっている。
今週から4つの病院でCPASは試験が開始され、病院のニーズを最も満たすようシステムを微調整する。開発チームによると、CPASは院内のICUベッド40床が来週には30床が埋まっていると確信を持って予測できるレベルだが、個々の患者がどこに入院しているかを予測するシステムではない。開始された実証研究によって英国全土の病院で日常的に使用できるツールに変えてゆくことをNHSは目指している。パンデミック後の世界においてCOVID-19以外の患者でもCPASのようなシステムは普遍的に利用されていくシステムとなるだろう。