がんの治療選択肢として、オプジーボやキイトルーダなど免疫チェックポイント阻害薬に代表される免疫療法に注目が集まる。しかし、免疫反応の複雑さから多岐にわたる副作用が予測しにくい点や、開発にかかる多大なコストが課題となる。ニューヨークを拠点とするスタートアップ「Immunai」は機械学習アルゴリズムを用い、免疫システムのマッピングによって診断と治療の改善に取り組む計画を発表している。
Venture Beatが報じたところによると、Immunaiは今回の計画発表に際して2000万ドルの資金を調達しており、研究体制の拡充に取り組んでいる。同社の技術はひとつの血液サンプルから1テラバイト以上のデータを取得し、機械学習によって細胞のタイプと状態をマッピング、データベースとの比較で免疫プロファイルを作成する。このプロファイル情報はがん治療に応用が期待される新規バイオマーカーの発見をサポートする可能性をもつ。例としてプログラム細胞死に関係するタンパク質PD-1とVD279を阻害する研究で、Immunaiのチームは腫瘍と戦うT細胞の起源に関する情報を明らかにしている。
Immunaiはツールとノウハウの開発によって、免疫腫瘍学や細胞療法の研究者をサポートし、医薬品開発と市場投入のスピードを上げることを狙いとしている。同様のアプローチとして、MicrosoftとスタートアップAdaptive Biotechnologiesがアルゴリズムの共同研究を行っていることも話題となっている。この領域への注力はまだまだ続いていくだろう。